MADOSMA 2号機発進。6型大画面の本命機Q601 徹底レビュー

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マウスコンピューターのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの2号機が今回取り上げるMADOSMA Q601です。

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MADOSMA Q601ではすべての面で初号機のQ501を超えるスペックを実現しています。また、ここまでに日本国内で発売されているWindows 10 Mobile搭載端末の中で最大となる6型のフルHD対応液晶を搭載したことも特徴の一つです。

外観の品位も大きく向上し、持つこと自体に満足感を感じられる質感が実現されています。

今回、発売直後にマウスコンピューター様より製品版の本体をお借りすることが出来ましたので、実機を使っての操作感なども含めた詳細なレビュー行ってみました。

目次

スペックのおさらい

MADOSMA Q601はこれまでに日本国内で発売されたWindows 10 Mobile端末では最高スペックを誇るVAIO Phone Bizを超える内容を実現してきました。この夏には、よりハイエンド寄りのAcerやHPの端末の発売が予定されていますが、それらと比べてもあまり見劣りのしない使用感を実現可能な仕様になっています。

本機最大の特徴でもある液晶には、ジャパンディスプレイ製の6型フルHD解像度のパネルを搭載しています。「ファブレット」と呼ばれるタイプの端末にも分類されるようなサイズの画面です。携行性の面では弱点となりますが、電子書籍や動画などのコンテンツの視聴にはとても有効なサイズです。

スマートフォンの心臓部であるチップのSoCには、現在のミドルクラスのスマートフォンの定番となったSnapdragon 617を搭載しています。CPU部は最大1.5GHz駆動の8コアとなります。

メインメモリには余裕のある3GBを搭載。ストレージもWindows 10 Mobileの運用には十分な32GBを確保しています。

本体サイズは約160mm x 83.2mm x 8.7mmと、さすがに幅が広くなっています。その代わり十分に薄く、縦方向の長さは液晶サイズを考えると控えめな長さとなっています。重量は約176.5gとなっており、本体サイズを考えると比較的軽めに仕上がっていると言えそうです。

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リアカメラには約1,300万画素のセンサー、フロントカメラには約500万画素のセンサーを搭載しています。

バッテリーの容量は大きめの本体を活かす形で、3,900mAhとかなり大容量のものを採用。連続駆動時間の長さに期待が持てます。

対応する携帯電話の電波帯は、通常のLTEではバンド1、3、8、19、28に対応しています。

またWindows 10 Mobile端末としては初めて「TDD-LTE」にも対応していることが特徴です。日本国内ではUQのWiMAX2+サービスに対応できるはずです。こちらはバンド38、40、41に対応しています。

直販価格は49,80円(税込)となっています。

⇒ MADOSMA Q601 公式サイト

手にしてのファーストインプレッション

MADOSMA Q601の箱はQ501の箱とほぼ一緒のデザインで、軽快感のある化粧箱になっています。

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付属品は最近のスマートフォンに習ってシンプルなものですが、Type-C形状のUSBケーブルと、ACアダプターが同梱されているのがちょっとうれしいところです。

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ただ、MADOSMA Q601本体は「QuickCharge2.0」に対応しますが、ACアダプターの方は未対応です。このためQuickCharge2.0本来の充電スピードは付属のACアダプターでは実現できません。

本体を手にしたときにはやはり、6型液晶を搭載したことから来るサイズ感の違いを一番最初に感じます。やはり大きいです。特に幅が5型クラスのスマートフォンとは全く異なります。

Windows 10 Mobileにはスタート画面の高さ方向を半分の長さにして、片手操作をサポートする機能がありますが、この機能以前に画面の反対側に親指の先が届きません。片手操作はほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。

ただ、一般的な成人男性の手の大きさだと、5型クラスのディスプレイを持つスマートフォンぐらいから片手操作がかなり困難になります。最初から両手操作を考えるならば、6型のディスプレイを持つスマートフォンの操作もなんの問題もない、と考えて良いかと思います。

MADOSMA Q601は幅の広さに比べ、縦の長さは画面サイズを考えると控えめな長さになっています。

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真ん中がMADOSMA Q601で6型パネルです。MADOSMAの左側が5.2型液晶のXperia Z5、右側が5.5型液晶を搭載しているVAIO Phone Bizです。5.2型液晶搭載のXperia Z5とはさすがにサイズ差がありますが、VAIO Phone Bizとはあまり長さの差がないことが分かると思います。

このサイズ実現のためにMADOSMA Q601の上下の額縁はかなり狭めとなっています。本体を横向きで持つ際には指掛かりが狭くなっていますので、この部分は少しだけ慣れが必要かもしれません。

厚さはXperia Z5、VAIO Phone Bizよりも1mm程度厚いでしょうか。これらの機種よりもわずかに厚みはありますが、十分に薄いと言える本体です。

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各種コネクタなどの外観

USBコネクタには、ケーブルを上下どちら向きにも挿せるType-C形状のコネクタが採用されています。充電などの際の操作感はやはりとても良いものです。

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ボリュームボタンは一般的な端末とはちょっと異なり、画面に向かって左側、電源ボタンとは反対サイドに付いています。

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SIMカードとマイクロSDカードは最近のスマートフォンでは一般的な差し込み方になっています。カードを載せるためのトレイを引き出すためには、専用のピンがないと差し込み/取り替えが行えません。

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電源投入から最初のサインインまで

手元に届いたMADOSMA Q601はほぼ満充電に近い形で届きました。それでも一応、念のためACアダプタを接続した状態で初期設定を行いました。

本体に付属のType-C形状のUSBケーブルはファブリック系の被覆がされたものです。ケーブル自体は少々固めで机の上などでのケーブルマネジメントにはちょっと気を遣うかもしれません。

Windows 10 Mobileも大規模アップデートなども含めソフトウェアの更新が何度かかかっていますが、初期設定自体は最初から全く変わらない手順で行えます。SIMロックがかかっていないせいもあるのでしょうが、初期設定は相変わらず非常にシンプルで分かりやすく、すぐに終えることが出来ます。

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初期設定後、Windows Update、アプリのアップデートもいっぺんに行いましたが、実行中はわずかに本体が暖かくなる程度で、筐体の大きさが放熱面にも上手く使われている印象です。

初期設定終了後のストレージの状況は以下のような形で、内蔵ストレージにもまだまだ余裕があることが分かります。

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液晶の表示

MADOSMA Q601には6型フルHD対応の大きな液晶が採用されています。またこの液晶パネルはジャパンディスプレイ製で品質には期待が持てます。

この大きさでフルHD解像度でもスマートフォン利用の距離程度ならば、ドットの存在は全く分かりません。非常に稠密な表示が可能です。

色再現もニュートラルでかなりキレイな表示が可能なパネルです。特に色域が広い感じはありませんが、6型の大きな画面サイズと合わせ、写真や高画質の動画などを鑑賞するのにも十分に耐えるディスプレイになっていると思います。

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バックライトの明るさの自動調節は、屋内だといい感じの明るさに調節してくれます。さすがに真夏の晴天の直射日光下ではバックライトの明るさが不足で、写真を撮る際の構図の確認にも苦労します。が、この部分はさすがにカバーしきれないところでしょう。

タッチパネルの反応

この機種はSoCにSnapdragon 617を搭載しているだけのことはあり、下位機種のQ501とは一線を画す操作感が実現されています。

Q501もそういうものだ、と理解して使えばストレスを感じないだけの操作感は実現されていましたが、やはりQ601の操作のなめらかさ、反応の良さはSoCのパワーの違いを良く理解させてくれるものです。

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最初に触ったときには微妙にタッチの検出が過敏な感触もあったのですが、その時以外はごく普通のなめらかで自然な操作感になっています。指先のコンディションの問題だったのかもしれません。

先日レビューしたVAIO Phone Bizでも感じたことですが、今のWindows 10 Mobileでは調整が進んだのか、MADOSMA Q601でもフリック操作を行って画面をスクロールさせたときの、スクロールスピードの違和感はかなり小さくなっています。まだ若干、指ではじくような操作をした場合にスクロールスピードが減速するような感触があるにはありますが、初期のモデルからは随分と改善された印象です。

アプリ操作の体感速度

付属のOffice Mobileなども含め、アプリの操作感は非常に良くなっています。サクサク軽快に動作します。

パソコンのWindows 10 Anniversary Updateを導入した無線LAN搭載ノートパソコンは、接続アプリを使用するとMiracastレシーバー内蔵のディスプレイとして動作するようになりますが、これとMADOSMA Q601を接続しての携帯電話向けContinuumの操作感が非常に良く、Office Mobileの実行やOSの操作ぐらいだと画面の遅延をほとんど感じず、かなりの実用性がありそうな感触です。

マップアプリも非常にスムーズに動作します。この機種でもマップのダウンロード時間のほうが問題になるぐらいに、画面スクロールには素早く対応してくれます。GPSの測位もかなり速く、精度も上々です。

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スタート画面、ロック画面とアプリ一覧

MADOSMA Q601のスタート画面はこちらです。壁紙やロック画面もデフォルトのままで、ほぼすっぴんのWindows 10 Mobileというイメージです。

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プリインストールアプリの一覧はこちらになります。

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SIMカードを2枚挿せることもあり、電話アプリ、メッセージングアプリが2組あるのが特徴的です。

ベンチマークと実際の操作感

ベンチマークにはスマートフォンの各種性能測定の標準となりつつあるベンチマークアプリ、「AnTuTuベンチv6」を使ってテストを行いました。

結果は次の通り、VAIO Phone Bizとほとんど同じ結果となりました。わずかに数字に差はありますが、すべて誤差の範囲と言える程度のものです。

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上位のSoCであるSnapdragon 810を搭載したXperia Z5と比較するとさすがに差は大きくなりますが、CPU性能ではCPUの最大クロックの差程度の性能差に納まっていて、純粋なCPUの演算性能では1世代前のハイエンド機とあまり大きな性能がないことが分かります。

ただ、グラフィック性能にはかなり大きな差があり、画面描画が美しいゲームなどではプレイ感に差が出る可能性があります。

動画の視聴などは今のスマートフォンにとっては軽い部類の処理ですので、全く問題のない動作が実現できています。画面の大きさもありますから、かなり見応えのある再生が可能です。

カメラの画質

今回、使い込んでみて一番感心したのは、実は内蔵カメラの画質です。ここまでで著者が使い込んでみたWindows 10 Mobile搭載機の中では恐らく最も高い画質が実現できています。

さすがに細かな絵柄の部分に関しては油絵調のタッチになってしまいますが、ノイズリダクションとシャープネスのかけ方、輪郭強調の度合いがかなり上手くバランスしていて、ちょっとした作品作りも可能なレベルの写真が作れます。

輪郭周りのジリジリしたノイズはどうしても若干残りますが、あまり気にならないレベルで解像感のある絵柄です。

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色をこってりと乗せる割には色ノイズなどが上手く押さえられている感じです。

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青空のグラデーションのなめらかさもかなり上手く処理されている印象です。

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撮影できる写真の解像度は縦横比が4:3の時には4,160 x 3,120ドット、16:9の時には4,160 x 2,340ドットとなります。

Continuum(コンティニュアム)

今回のレビューのためのためにMADOSMA Q601を使い込むのに前後する形で、パソコンの方のWindows 10にはAnniversary Updateの大規模アップデートが配信されました。

Anniversary Updateを適用した無線LAN搭載のパソコンでは「接続」アプリを使って、パソコン自体をMiracastレシーバー付きのディスプレイのように振る舞わせることが可能になりました。

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手元のノートパソコンで「接続」アプリを実行して、こちらにMADOSMA Q601でContinuumを動かして接続を行ってみましたが、非常に安定した接続とContinuumの利用が可能でした。

この実験の中で分かったことなのですが、無線接続であってもContinuum自体の性能は極めて良い、ということです。

ノートパソコンで「接続」アプリを利用した場合、Miracastの手順で送られた画面のデータはパソコンのCPUがデコードして画面表示を行いますので、一般的なMiracastレシーバーよりもはるかに高性能なパソコンのCPUのパワーが活きます。

表示遅延が圧倒的に小さくなって、一般的なアプリの利用やデスクトップ的な画面の操作レベルでは、ほとんど違和感を感じないレベルの操作感が実現されていることが分かりました。

Q601側で動画を再生してそれを表示するような形だと、さすがに画面のデコードが間に合わずコマ落ちなどが生じますが、そういった使い方でなければかなり高い実用性が実現されています。

今までは出張などでContinuumを利用してプレゼンを行う際には、Miracastレシーバーを持って出かける必要がありましたが、今度はプレゼンを行うところにWindows 10のAnniversary Updateを適用したノートパソコンがあればことが足りるようになる可能性があります。

携帯電話向けContinuumの使い途がまた少し広がりそうです。その点では、Continuumが可能なスペックを実現したMADOSMA Q601の優位性も出てくることになりそうです。

その他気づいた点

スピーカーは本体裏側にあります。スピーカー自体の音量はかなり大きくすることが可能ですが、本体を机に置いた状態だと音の出口がふさがれる形になって、音量はどうしても大きくなりません。

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手に持った状態でもスピーカーの前に手のひらをあてがうようにして前面方向に音を導くことで、スピーカーからの音の聞こえ具合が全く違ってきます。

イヤフォンを使ったときの音質もかなり頑張っています。ある程度じっくり音楽を聞き込むにもあまり不足のない音を出してくれます。ボリュームも非常に大きくすることができ、
手元のあまり効率の良くないイヤフォンでも耳が痛いほどのボリュームにすることが出来ました。

さすがにそこまでボリュームを上げてしまうとガチャガチャした印象の音質になってしまいますので、ボリュームは適度なところでとどめておくのが良さそうです。

また、Windows 10 Mobile共通の特徴ですが、内蔵スピーカーとイヤフォンの音量を別々に管理できます。スピーカーでもイヤフォンでもそれぞれ独立して適切な音の大きさが設定できるのはとても便利です。

まとめ

MADOSMA Q601は発売タイミング的にもまさに満を持して登場した、という形のスマートフォンです。性能的には先行したNuAns NEOやVAIO Phone Bizとほぼ横並びですが、それだけで終わらせることなく、6型の大型画面や32GBの余裕あるストレージ、FD-LTE対応などのフィーチャーを盛り込んできました。

筐体もアルミ製のバックパネルを採用したり、ゴリラガラス3と端がラウンドした表側のガラスを使って非常に質感の高い本体も実現しています。十分に所有欲も満たしてくれる端末に仕上がっていると思います。

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価格面でも、上で名前を出した2機種を超えるスペックを実現しつつ、価格帯は両方の機種の真ん中に落としてくるなど、とても戦略的な位置づけの機種になっていると思います。

今後、HPとAcerから本当のハイエンドスペックを実現したWindows 10 Mobile搭載機が登場の予定ですが、そちらの機種は価格で恐らく倍近いプライスタグが付くはずで、実用性等を考えると逆にMADOSMA Q601など、Snapdragon 617搭載機が注目される形になるかもしれません。

画面描画に特にこだわったゲームなどを除き、Snapdragon 617を搭載したスマートフォンは十分以上の実用性を持った端末に仕上がっているからです。

海外では苦戦のニュースばかりが聞こえてくるWindows 10スマホですが、日本では逆にビジネス向けに少しずつ浸透が始まっているようなお話も聞きます。

独自の存在感を持つ日本のWindows 10 Mobile搭載機が世界を引っ張っていくような形になると面白いのですが。

その時には、MADOSMA Q601がその真ん中に座る形になるかもしれません。

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個人用としてはWindows 10 Mobileはまだまだアプリの弱さが弱点ですが、マイクロソフトの標準のカメラアプリでもここまでのカメラの画質を作れることが証明できたことは、今後の個人向けのスマートフォンの必要条件の一つとして重要な要素になってくるかもしれません。

⇒ MADOSMA Q601 公式サイト

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